ウィズコープ4月号 2025年 vol.322
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5432109シュンギクの基準値(一律基準値)シュンギクからの検出値(残留基準値)ねぎの基準値(残留基準値)トマトの基準値りんごの基準値(残留基準値)4文字目のキーワード■基準値超えした農薬のシュンギクと他の作物との基準値の比較(図1)(ppm)りんごとくらべると1/10ねぎ・トマトとくらべると1/4詳しい検査内容は基準値とくらべると58倍はじっこクイズ東海コープ商品検査センター2月度の検査検体数(合計829)【報告日】2025/1/21〜2025/2/20微生物751残留農薬52その他理化学検査1残留放射性物質6ヒスタミン19検 索東海コープ 検査センターhttps://www2.tcoop.or.jp/安全で確かな品質のコープ商品をお届けするため、科学的なデータでバックアップするのが商品検査センターの役割です。〇〇〇と野党。 > > ●○○(1文字目)今回で、斎藤 勲(さいとう いさお)さんの記事は最終回となります。6月号からは、名古屋葵大学※健康科学部栄養学科教授の中島正博(なかじま まさひろ)さんの執筆となります。※2025年4月、名古屋女子大学より名称変更今月のテーマ基準値超えの農薬検出!気になりますね「食についてもっと知りたい!」という声にお応えします。知らなかった食の知識をあなたの日々のくらしにプラス!コープを利用しているからこそ、一緒に考えてみませんか。 このように、使う作物の残留基準値と、使ってはいけない作物の一律基準値は、意味がまったく異なります。 テーマの「基準値超え」は、シュンギクには使ってはいけない農薬が一律基準0.01ppmを超過して0.58ppm検出されたものです。基準値のある作物では、これより高い基準のものも多くあり(図1)、その場合は別に問題とならず、またその量では、たとえ食べたとしても健康への影響はないと判断されているので、文末の「健康への影響は極めて低い」という一見矛盾する表現となるのです。 このように、基準値のある作物で、基準値の何倍という比較はそれなりの意味がありますが、基準のない一律基準との比較で、何十倍という、不安だけが先行する報道はあまり意味がないことを理解していただければと思います。検査センターだより「残留基準値」と「一律基準値」は意味が異なる 使うことが認められていない作物から農薬が検出された場合、それは使用方法のミスなどではなく、生産者の適用確認のチェックミスや、「昔は使ってよかったけれど、今は駄目になったことを知らなかった」などの初歩的な無知などが原因で発生します。また、隣の作物で使用した農薬が、風で流れて付着して検出されるドリフト事例もあり、商品を売るプロとしての生産者の力量が問われます。この場合、比較される基準は一律基準で、農薬の使い方などを考慮した基準ではなく、その農薬が検出してはいけないことを検証する最低濃度なのです。農薬を正しく使えば残留基準値を超えることはない 農薬は厳しい安全性のチェックを行った後、どんな作物に、いつ、どれくらい使うのかを決めます。そして、その使用方法で、収穫した際にどれくらいの農薬が残留するかを調べます。この農薬の残留基準値は、その農薬が残ったいろいろな種類の農産物を合わせて食べたとしても大丈夫な量として、作物ごとに決められています。しかし、農薬は必要な場合だけ使いますから、使わない作物には残留基準を決める必要がないので基準値がありません。そのかわり、一律基準0.01ppmが適用されます。これがいわゆるポジティブリストというやり方で、食品添加物も同様な仕組みで運用されています。 ここで大切なのは、使ってよいものには基準値が設定され、それを超えないような使用方法が決められているので、基準値を超えることは通常あり得ないということです。もし基準値を超えた場合は、生産者の農薬使用に対する知識不足が厳しく問われ、せっかく作ったものは廃棄されます。もし組合単位で出荷していたら、その組合からの出荷は当分止まるので、他の生産者にも大迷惑となります。基準値の2倍、5倍超過など違反実態が分かったら、使用方法を含め違反原因を追究し、二度と起こらないような是正措置が取られます。斎藤先生からのごあいさつ今回の記事をもって「一緒に食を考えよう」の担当を終了させていただきます。長い間、東海コープ商品検査センターにお世話になり、ありがとうございました。いろいろな情報があふれる今、実際のところはどうなの? というみなさんの疑問、不安に少しでも答えることができるよう、一歩踏み出した考えも含め発信してきました。これからも、この「食を考えよう」コーナーの情報発信を有効活用していただき、日々のくらしの安心の一助になれば幸いです。輸出食品を含め、いろいろな農薬検出について報道されることがあります。しかし、タイトルだけ読んでいると不安だけが伝わって、本当のところがよく分からないことが多いのが実情です。最近も、関東のシュンギクから基準値58倍超の殺虫剤が検出されたと報道がありました。しかし、文末には健康への影響は「極めて低い」と書いてあります。どういうこと?

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